公開情報なら勝手にツイートしても問題ないんだっけ?
秋を感じ始めた10月末、X(Twitter)のエンジニア界隈では「通信の秘密」が何かと話題に。。
背景としては、某カンファのリアル会場でフリーWi-Fiが用意されており各参加者がそのWi-Fiにつないでインターネットの海に接続するわけですが、その接続先ドメイン名?をカンファHPにワードクラウド風にかっこよく表示していたらしく、それは通信の秘密の侵害にならないかと話題になった、ということのようです。(若干事実誤認あるかもしれませんが)
これに関して、一部ではその表示されていたドメイン名?は公開情報かどうかみたいな話にまで発展したようで、
ドメイン名は公開情報だから通信の秘密にならなくね?
暗号化されてない以上晒されてもしょうがない
などなど。。。
※実際のツイートではないです。今はポストか。
まあ言いたいことは分からんでもないですが、Xでは
ドメイン名は必ずしも公開情報じゃない
公開情報かどうかは関係なく秘密は秘密
と総ツッコミの嵐に。
通信の"秘密"というくらいなので、そもそも通信の中身(ここではドメイン名?)が第三者に見られるようになってること自体がそもそもダメで、結果的にそれが公開情報かどうかというのはもはや関係ないわけですね。。。
ところで、そもそも公開情報であれば公の場でそれをつぶやいたり発信したりしても問題ないのでしょうか?
ちなみにここでは公開情報=誰もがアクセスできる情報と定義しておきます。(その"アクセス"が簡単かどうかはさておきます。。)
私自身も昔は「秘密になっているものはダメだろうけど、公開情報であればいくらつぶやいたり発信しても問題ないだろう。だって"公開"情報だもん」と思ってた時期がありました。(実際今回の件でも公開情報だから云云みたいな投稿がちらほらありましたね。。)
ただ(当たり前ですが)世の中的には公開情報だからといってなんでもかんでも表に出していいわけではないです。なぜか?
ひとつには「プライバシーの保護」です。
破産者マップ事件をご存じでしょうか。破産をすると国から官報に破産者の情報というものが掲載されるわけですが、その官報に載っている破産者情報をマップ形式で集約したいわゆる破産者マップというWebサイトが登場しました。破産者の住所が載っているということで、個人情報保護の観点から後に個人情報保護委員会からの停止命令を受け現在同サイトは閉鎖されています。運営者が処分取り消しを裁判所に訴え出ていますが「個人の権利侵害は深刻で、処分は適法」として棄却されています。
他にも個人情報を含んだ裁判記録をネット上に公開する行為もやはり場合によっては名誉棄損等で訴えられるリスクがあるという風に聞きます。
いくら公開情報だからといって、人の個人情報もりもりのセンシティブな情報を同意もなくぺらぺら公にするのはまずいというわけですね…
詳しいことは↓
あとは今回のような「そもそも秘密であることが前提・想定されている」パターン。
今回の通信の秘密の例のほかにも、例えば「不正アクセス禁止法」ではWebサイト等に勝手にID・PW等をのっけて不正アクセスを助長させるような行為はどんな理由・状況であろうと明確に禁じられています。(不正アクセス禁止法第5条)
秘密なもんは秘密なわけで、よそでは公開されているからおいらも公開していいんだ!などという主張は当然ですがまかり通らないということですね。
(もちろん公然の秘密というものもありますが、これ以上突き詰めると倫理観だとかその場の文脈だとかそういう話になってきて答えのない世界に入りそうなのでこの辺で)
また、著作権や特許などの知的財産権を害するような行為、本当かどうか怪しい情報(フェイクニュース)等はそもそも積極的に公開・発信されるべきではないですね。
最近はOSINTなんかも盛んですが、あくまで公開情報は公開"されている"情報であって、公開"していい"情報ではないというわけですね。。
※本記事はあくまで私見です。